すでに「教員の働き方改革と組織改革」のページで述べたとおり、子どもたちの学びを支える教員の不足が深刻になっています。特に小学校の教員不足が深刻で、新年度を迎えても学級担任を担うべき教諭が足りなくて主幹教諭や副校長が代役を果たしたり、正規教員が足りなくて非常勤講師などの非正規教員が年度当初から学級担任を受け持ったりするケースが全国の学校現場で発生しています。学校現場の現況とその解決法・指針についてはこのHPですでに明らかにしていますので、ここで改めて云々するつもりはありませんが・・・。
一般的に「やりがい搾取」とは、労働者の「やりがい」を利用して、長時間労働・低賃金で業務を行わせ、利益を搾取する行為です。ただ、教師という仕事の特殊性を考えた場合、この定義は一概には当てはまりません。大抵の教員にとって、授業準備自体は嫌なものでも辛いものでもなく、むしろ爽やかで楽しみでさえあるでしょう。また部活動本命の顧問は、休日返上でも労苦を厭わず子供たちのために尽くすことは「やりがい」だとすら感じています。ですから、仕事がまだ残っているのに「定時退校日だ」と言われても、逆にそれは困るのです。
教育という仕事は、「人の役に立っている仕事」という意識や、「物事に対する充実感や手応え」「社会的使命感」を得られやすいといったことから、最も「やりがい搾取」を受けやすい職業だとされています。教員は、ジョブクラフティング(Job
Crafting)に取り組むことで主体的な「やりがい」を獲得することができます。教員は命じられるまま動くのではなく、自分の意思で担当する仕事に向き合うことでモチベーションが高まり、パフォーマンスの向上が期待できるのです。要するに「使役による強制」や「管理による搾取」に頼るだけではダメだということです。
私は今、警備の仕事と私立校の非常勤講師のダブルワークをやっていますが、現在どの業界も一般に人手不足が深刻になっています。人手過剰で「おまえの代わりなんかいくらでもいるよ」なんて言われるよりは、一人ひとりが大切にされる世の中になっていくのはいいことなのではないでしょうか。文科省は「教員不足は、少子化が進む中で、数年後には自然に解消していくのではないか」という、相変わらず能天気なことを言っています。公立学校という官僚組織は、とことん窮地に追い込まないと本格的な改革を始めません。教員志願者数は年々減少の一途をたどっていますが、今のところ、どの自治体も「定員割れ」がないだけまだマシだと思っていた方がいいでしょう。
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